
こんにちは、kinkoです。日本政府は今年から「プレミアムフライデー」と称して、月末金曜日の午後3時以降は退社することとしています。しかし、実際には帰れない人の方が多く、浸透しているとは言えません。海外赴任経験のある方は、日本に帰りたくなくなるほど労働時間の短さに驚きます。どうすれば欧州諸国のように短時間労働が可能になるのでしょう?
年間労働時間の上限2,420時間
〈日本の労働基準法〉
- 原則として、1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけません。
- 使用者は、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えなければいけません。
- 使用者は、少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければなりません。
〈時間外労働(36協定) 〉
時間外労働(残業や休日出勤)は、1週間で15時間以内、1ヶ月で45時間、1年で360時間と規定で決まっています。ただし、労使の協議を経れば年6回を限度として、1ヶ月60時間、1年420時間まで延長する事が出来ます。
つまり、年間労働時間の上限は、1年を50週とした場合、40時間×50週+最高420時間の残業=2,420時間となります。
年間の労働時間が2,000時間を超えると過労死の危険が高まりますが、労働基準法では過労死や働き過ぎを抑制することはできないのです。
世界の年間労働時間を比較
世界の年間労働時間
順位 | 国名 | 労働時間 | 順位 | 国名 | 労働時間 |
1位 | メキシコ | 2,255 | 20位 | スロバキア | 1,740 |
2位 | コスタリカ | 2,212 | 21位 | イタリア | 1,730 |
3位 | 韓国 | 2,069 | 22位 | 日本 | 1,713 |
4位 | ギリシャ | 2,035 | 23位 | カナダ | 1,703 |
5位 | ロシア | 1,974 | 24位 | スペイン | 1,695 |
5位 | チリ | 1,974 | 25位 | スロベニア | 1,682 |
7位 | ポーランド | 1,928 | 26位 | イギリス | 1,676 |
8位 | ラトビア | 1,910 | 27位 | オーストラリア | 1,669 |
9位 | イスラエル | 1,889 | 28位 | フィンランド | 1,653 |
10位 | リトアニア | 1,885 | 29位 | スウェーデン | 1,621 |
11位 | アイスランド | 1,883 | 30位 | オーストリア | 1,601 |
12位 | アイルランド | 1,879 | 31位 | スイス | 1,590 |
13位 | エストニア | 1,855 | 32位 | ベルギー | 1,551 |
14位 | ポルトガル | 1,842 | 33位 | ルクセンブルク | 1,512 |
15位 | トルコ | 1,832 | 34位 | フランス | 1,472 |
16位 | 米国 | 1,783 | 35位 | オランダ | 1,430 |
17位 | チェコ | 1,770 | 36位 | ノルウェー | 1,424 |
18位 | ハンガリー | 1,761 | 37位 | デンマーク | 1,410 |
19位 | ニュージーランド | 1,752 | 38位 | ドイツ | 1,363 |
出典:グローバルノート国際統計より
世界平均の年間労働時間は、1,763時間です。日本は22位の1,713時間で世界の平均より短くなっています。米国の方が労働時間が長いとは驚きです。この統計は、にわかに信じられません。
kinkoの海外赴任生活
kinkoは、主人の仕事の都合で、日本の22位よりも労働時間が長い海外に赴任していたことがあります。この統計が信じられないのは、日本に比べて随分と労働時間が減っていると感じていたからです。
海外赴任時の主人の働き方は、
- 残業が一切なく、平日は毎日17時台に帰宅していた。
- 休日出勤はなく、有給は20日以上取っていた。
- 仕事の後の飲み会はなく、会社のパーティはクリスマスのみの年1回。
これらを踏まえて年間労働時間を計算すると、40時間×50週−8時間×20日(有給)=1,840時間です。日本の労働時間がこの数字より少ないとは到底思えません。
海外では、日本のお盆やお正月にあたる夏期休暇やクリスマス休暇を2週間ずつ長期で休暇をとります。バカンス中に病気になった時は、傷病休暇に切り替わり有給を消化することはありません。
ですから、日本のように病気で有給を使うことがないため、有給は全て“遊び”に使えます。海外では、休暇=遊びの認識があり、毎週、週明けには「どこに出掛けた?」と聞かれるのが普通なのです。
3年の海外赴任生活が快適過ぎて、主人は日本へ帰りたくなかったようです。この期間は、風邪などの病気にかかることもなく、旅行ばかり行き、ストレスフリーの生活でした。
隠れ労働時間
統計に表れないサービス残業(隠れ労働時間)が多いのではないでしょうか。日本での若い頃の主人の労働時間は、朝8時前に出勤し、帰宅は22時過ぎです。お昼休憩を除いても12時間以上は働いている事になり、1ヶ月45時間の残業時間は2週間で消化出来ます。
残りの2週間も同じように残業をしたとすると、45時間×12ヶ月=540時間のサービス残業をした計算になります。名目上は、週休2日制でしたが休日にも会社に行くことが多々あり、家で仕事をする事もありました。
また、管理職になってからは、残業時間はなくなるため、いくら同じように働いても労働時間にカウントされなくなります。
日本ではこのようなサービス残業が当たり前になっていて、世界から見ると日本企業全体が、クレイジーだ、Brak企業だと言われているのです。
時間あたり労働生産性国際比較
1時間あたり労働生産性
1位 | ルクセンブルク | $95 (10,006円) |
2位 | アイルランド | $87.3 (9,196円) |
3位 | ノルウェー | $81.3 (8,561円) |
7位 | ドイツ | $65.5 (6,898円) |
20位 | 日本 | $42.1 (4,439円) |
公益財団法人日本生産性本部の2015年のデータによると、OECD加盟諸国で就業1時間当たり労働生産性が最も高かったのはルクセンブルク、2位はアイルランド、3位はノルウェーと続いています。
日本は20位で、ルクセンブルクの半分にも満たなく、生産効率が悪いと言えます。
相対的に労働時間の短い欧州大陸諸国や北欧諸国などでは時間当たりでみたほうが労働生産性が高くなる傾向があります。
ドイツでは、労働時間が1,363時間と最も少ないにもかかわらず、時間あたりの労働生産性は、日本の1.5倍もあります。いかに日本人が無駄に働いているかがわかります。
9つの働き方改革
- 同一労働同一賃金を導入し、非正規社員の処遇改善を図る
- 最低賃金を年3%程度上げ、時給1,000円以上にする
- 罰則付きの残業上限を設定、インターバル規制も導入
- 転職者受け入れ企業の助成拡大、情報提供を強化
- テレワークを拡大、兼業・副業を推進
- 学び直しの機会拡充、就職氷河期世代の支援
- 65歳以降の継続雇用や定年延長への助成を拡充
- 保育士や介護士の賃金や待遇を改善
- 外国人材受け入れの検討を開始する
政府は、2019年までに働き方改革として、上記の事柄を打ち出しています。同一労働同一賃金は当たり前のことであり、かえって短い時間のアルバイトの方の方がよく働いたりします。
最低賃金が低いために他の仕事と兼業し、さらに労働時間が長くなりますから兼業や副業を認めるよりも主な仕事の時給をもっと上げて欲しいと思います。
働き方改革は、ちょっとズレているような気もしますが、しっかりと政策を進めて、過労死防止になればいいですね。
ま と め
- 統計では日本の労働時間はさほど高くない
- サービス残業の改善が必要
- 労働生産性が低いのは無駄に働いている証拠
いかがでしたでしょうか。欧州諸国のワークシェアリングなども取り入れて、短い時間で効率の良い労働をしたいですね。時間=お金ですから!