入居時の初期費用の節約方法と敷金が管理会社のおいしい利益の訳

 

こんにちは、kinkoです。2020年をめどに施行される改正民法の中に「敷金の返還」と「原状回復義務」について日経新聞に記載されました。実は以前、アパート管理会社の敷金精算担当者として働いていたことがあり、敷金を巡って裁判を体験したこともあります。

敷金は大家と借り主だけの問題ではなく、みなさんの知らぬところでアパート管理会社の利益になっている実態があります。そんな裏情報やアパートを借りる際の初期費用の節約法をこっそりお教えします。

 

アパートを借りるのは意外と大変

実家から出て一人暮らしに憧れる若者はたくさんいます。親が認めてくれないなら家出して勝手にアパート借りてやるって思っている方もいらっしゃるでしょう。

しかし、アパート管理会社からすれば、そんな人に簡単には貸せません。なぜなら信用もお金もないからです。特に信用を得るには、勤め先の源泉徴収票を提示させたり、カード会社に問い合わせをして債務超過になっていないか確認します。年収が低い人には保証人を二人付けさせたりもします。

ですから家出してアパートを借りるのは無理なんです。保証人も要らず勤め先も把握せず、通帳の残高のみ確認して住まわせるような不動産管理会社は、ちょっと危ないところかもしれません。特に若い女性の方は、家賃滞納をたてに違法アルバイトを強要するところもありますので注意が必要です。

・アパートを借りる際の初期費用

kinkoが勤めていたアパート管理会社では、だいたい家賃の6ヶ月分が相場でした。内訳は1ヶ月分の前家賃、礼金1ヶ月、敷金3ヶ月、仲介手数料が1ヶ月分+消費税を契約時に頂いていました。家賃が7万円だとすると、初期費用は42万5600円にもなります。

・仲介手数料が無料になる⁉︎

仲介手数料とは、部屋を紹介してくれた不動産管理会社に、契約成立の時点で成果報酬として支払うお金のことです。契約した部屋の家賃1ヶ月+消費税が上限です。

管理会社によっては50%offなどのキャンペーンを行う会社もあります。この50%の仲介手数料分は管理会社がサービスしているのではなく、大家さんが広告料として支払っている場合がほとんどです。早く空室を減らしたいための物件なので古い物件が多く、新築物件には見受けられません。この50%の仲介手数料も交渉次第で無料になることもあります。

・初期費用を節約

初期費用を抑えるには、結局、人と人との交渉につきます。すべては大家さんが納得するかどうかにかかっています。kinkoの経験上、半年以上空室だった物件では敷金2ヶ月に減額、礼金なし、仲介手数料大家さん持ちとなり、初期費用は6ヶ月→3ヶ月となりました。尚、家賃も交渉の末、1割引になりました。不人気物件は借り手市場ですので、家賃も初期費用も安くなります。

昨今、相続税対策や低金利ローンの追い風により、新築アパートの建設ラッシュです。築20年以上の古いアパートは空室率が高くなっており、家賃を抑えたい方は狙い目かもしれません。また、現在住んでいるアパートの賃料交渉もダメ元でやってみてはいかがでしょうか。

・敷金と礼金の違い

敷金とは、家賃などの債務の担保として預けておく、いってみれば保証金のようなものです。家賃滞納した時に敷金で補填したり、また退去する時に借り主の原状回復義務による修理負担分が敷金で賄われたりします。残金は戻ってきます。→普通に住んでいれば、ほぼ戻ってくるはずです。

礼金とは、昔からある慣習の1つで、部屋を貸してくれる大家さんにお礼の気持ちを込めて渡されていたもので、あくまでお礼ですので退去の時には戻ってきません。大家さんとの交渉次第で礼金なしになることもあります。

新民法、敷金について

“【新民法622条の2】
第四款 敷金
第622条の2
1 賃貸人は、敷金(いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。以下この条において同じ。)を受け取っている場合において、次に掲げるときは、賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務の額を控除した残額を返還しなければならない。
一 賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき。
二 賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき。
2 賃貸人は、賃借人が賃貸借に基づいて生じた金銭の給付を目的とする債務を履行しないときは、敷金をその債務の弁済に充てることができる。この場合において、賃借人は、賃貸人に対し、敷金をその債務の弁済に充てることを請求することができない。”

法律用語って難しいですね。わかりやすく言うと、借り主が引っ越して部屋を大家さんに返した時や契約が満了した時は、速やかに敷金を返金しなければならないってことです。

また、大家さんは借り主から預かっている敷金から滞納している家賃などを引いた金額の残りを返しなさい。でも、借り主からは敷金を滞納家賃に当ててよ、ということ出来ないということです。

新民法 原状回復義務について

“【新民法621条】
(賃借人の原状回復義務)
第621条
 賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。”

この原状回復義務を巡ってはさまざまなトラブルがあります。もう10年以上も前に国土交通省が出したガイドラインがありますが、やっと民法の法改正に至ります。

・原状回復義務の注意点

  1. 原状回復義務とは、賃貸借契約終了時に借り主は自身で設置した物を取り除き、その部屋を借りた時の状況に戻して返却することです。
  2. 原状回復義務は収去義務であることから、借り主は通常の使用や時の経過によって古くなったものをわざわざ新しいものに交換するなどの義務はありません。
  3. 社会通念上の通常の使用の限度を超えた劣化・毀損部分についてのみ修復・交換する義務が生じ、その費用は敷金から控除されることとなります。※この「社会通念上」の解釈が曖昧です。

例えば、子供が壁紙に油性ペンで落書きした損傷は、借り主の過失にあたり敷金からの弁償になります。しかし、陽射しにより壁紙が黄色くなったための張り替え費用は、経過年数の劣化のため大家さんの費用となります。ここまでの解釈はご理解頂けると思います。

それでは、タバコのヤニで壁紙が汚れたのはどちらでしょうか?タバコを部屋の中で吸うのは当たり前と思われていた時代では、社会通念上、「陽射し」にあたります。ですが、タバコの匂いまで染み付いた部屋では借り主の過失にあたるのでは?といった具合に、どちらにも解釈ができ線引きがありません。

最近では、契約書に「部屋でタバコを吸うのを禁止する条項」を入れる大家さんも増えてきました。

とりあえず、普通に暮らしていれば原状回復義務はないと思います。壁に画びょうの後や畳にタンスの凹みなどは借り主の責任ではありません。敷金は基本的に「全額戻ってくるもの」と思っておいて下さい。

アパート管理会社が敷金から得る利益

  • 工事代金の15%をバックマージン
  • 鍵交換代金の50%
  • クリーニング代金の中間マージン

あくまで、kinkoの勤めてた管理会社の話ですので、他の管理会社はどうかわかりません。やってない仕事を不正に請求することはありませんが、綺麗な部屋でもわざわざクリーニング業者(パートのおばちゃん)を入れて、クリーニング代を頂いていました。原状回復代金のおおよそ2割〜3割は管理会社の利益でした。

大家さんもカモられている?

古い物件になるとなかなか次の入居者が決まりません。すると管理会社は、リフォームの提案をします。畳→フローリングにした方が若い人には人気とか、トイレとお風呂を別々にリフォームをしましょう、とか工事を勧めます。この工事代金の中に業者のバックマージン15%が管理会社の手数料になっており、知らぬ間に取られていたりします。

一時、サラリーマン大家さんが人気で、物件の管理は管理会社にお任せすれば楽ちん!と流行りました。管理費は家賃の5%ほどをうたっていますが、それで全てが賄われるわけではありません。例えば、駐車場の草取りはどうしますか?と聞き、お願いすれば、後日中間マージン入りの請求書が届きます。楽をすれば、それだけ費用がかさむのです。

大家さんにとっては、工事費用は経費で落とせます。ですが、この経費を減らしたい大家さんならば、工事依頼や草むしりをご自分でなさることをお勧めします。

kinkoはかつて大家さんになるのが夢でした。この管理会社の実態を知って、現物の不動産投資は諦めました。

Kinkoの少額訴訟裁判

kinkoが入社して間もなく、簡易裁判所で敷金の少額訴訟裁判を体験しました。前任者が敷金精算の金額で退去者と揉め、裁判になった事例です。

訴訟内容は、敷金21万円の全額返金請求です。借り主は新築物件を2年で退去しています。たった2年にもかかわらず、子供の落書きやタバコのヤニで壁紙を全面張り替えをする工事費用が20万円かかり、管理会社は敷金からこの費用を全額退去者に負担させていました。

退去者はこれを不服として「少額訴訟裁判」を起こしました。裁判には、原告側に退去者夫婦、被告側に大家さんだけ。退去者が訴えたのが大家さんだけだったので、管理会社社長は傍聴席でした。お年寄りの大家さんは経緯を何も知らず、おろおろしているだけで可哀想でした。

結審は、「子供の落書きした部分の2万円のみの負担で、残り18万円を原告に返金すること。裁判費用も被告持ちとする。」となりました。

契約書には、タバコのヤニによる原状回復義務の記載があったはずでしたが、それは認められませんでした。裁判になれば、借り主に有利なのだと感じました。

・少額訴訟裁判とは?

民事訴訟のうち,60万円以下の金銭の支払を求める訴えについて,原則として1回の審理で紛争解決を果たす訴訟で、簡易裁判所で行います。

費用は、申し立て手数料(訴額が10万円ごとに1000円)と郵券代が3000〜5000円ほどかかります。これらの訴訟費用は相手側に請求できます。

kinkoの体験した裁判では、大家さんが支払った相手側の裁判費用は7000円くらいだったと記憶しています。

今回の新民法でより一層、原状回復義務は借り主に有利になります。大家さんにとっては耳の痛い話ですが、原状回復費用は月々のお家賃の一部と割り切って、経営にあたって下さい。

ま と め

  • 敷金と原状回復義務の改正民法は2020年施行
  • 管理会社は借り主と大家さんから手数料を取っている
  • 敷金でのトラブルは少額訴訟裁判がある

 


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です