米国株投資

米国市場より日本市場が敏感なFOMCって?

 

こんにちは、kinkoです。先週、FRB(米連邦準備理事会)がFOMCで追加利上げの実施を決めました。この発表により、日本市場や為替が振り回されているのはなぜなのでしょう?また、今回教科書通りの見通しが立たず、アナリスト達の見解がまちまちなのはどうしてなのでしょうか?気になったので掘り下げてみたいと思います。

 

FOMC・FRBとは?

FRBとは?=理事7名

FRB(The Federal Reserve Boardの略)とは、日本における日銀と同じ、アメリカの中央銀行制度の最高意思決定機関で、連邦準備理事会といい7名の理事から構成されています。

このFRBが開く会議にFOMCがあり、FRBの理事7名や地区ごとの連邦準備銀行(FRB)総裁5名で構成されていて、アメリカの金融政策やFFレートの金利誘導目標を決定しています。

FFレートとは?

FFレートとは、フェデラル・ファンド(Federal Funds)レートの略で、連邦準備銀行(アメリカの中央銀行)に預け入れる無利息の準備金が不足している銀行が、余剰の出ている銀行に無担保で資金を借りるときに適用される金利を指します。

FOMCとは?=金融政策会合

FOMCとは、Federal Open Market Committee(連邦公開市場委員会)の略です。アメリカの金融政策を決定する会合のことです。日本では「日銀金融政策決定会合」で金融政策を決定しています。

FOMCは、年に8回開催され、現在の景況判断と政策金利(FF金利)の上げ下げなどの方針が発表されます。その結果が市場の予想とは違った場合には、株式市場や為替レートが大きく変動することがあり、世界の金融マーケットにも大きな影響を及ぼします。

市場の反応は、市場関係者の予想との乖離があるかないかで、大きく違ってきます。例えば市場が0.25%の利下げを期待しているときに0.5%の利下げが行われると、期待以上の結果ということで株価に影響が出たりします。

政策金利を変更すると?

利上げ利率が上がるため、リスク資産の株式等に出回っていたお金が低リスクで安全性の高い債券へ移行します。すると市場の過熱感がとれ、インフレを抑える効果があります。

利下げ→金融機関が安い金利でお金を調達でき、企業は安い金利でお金を借りることができ、設備投資など(個人で言えば、住宅購入など)を行い、世の中の経済が活発に動くようになります。銀行預金の利率も下がるため、株式や外貨預金といったリスク資産へ移行します。

通常、利上げは債券相場に有利で、利下げは株式相場に有利というのが常識でした。また、二国間の為替レートはドル高・円安に傾くのが普通でした。しかし、リーマンショックでは、世界経済全体が債券市場も株式市場も同時に下がるという前代未聞の自体に陥りました。

今回の利上げの影響は?

“FRBは14日、3カ月ぶりの利上げを決めた。利上げ幅は0.25%。量的緩和で膨らんだ保有資産の縮小にも着手すると表明した。イエレン議長は9月に資産縮小を開始する可能性も示唆。2008年の金融危機対応から完全に脱却することをめざす。”

と発表されました。利上げですので、ドル高・円安が進み米国株は下落してもおかしくないはずです。しかし、今回の米国長期金利の上昇は小幅に留まり、米国市場は上昇し連日高値を更新しています。今までのような教科書通りの理屈が通じなくなっているのです。

各社アナリストの相場予想

為替相場9月末12月末来年3月末
シティグループ証券109円113円117円
みずほ銀行107円104円102円

※日経新聞より引用

このように各社アナリストでさえ、予想が両極端となっています。

シティグループのT氏は「月間500億ドルの資産縮小を1年間続ければ、8円近い円安効果が生じる」とする一方、物価上昇の鈍さや経済活動の減速が確かならFRBが緩和縮小に動かないだろうとし、円高になると予想される方もいます。実際、円安に振れるどころか、一時円高に進みました。

FRBの苦悩

FRBは2008年のリーマン・ショック後、量的金融緩和で米国債などを大量に買い上げ、資産規模を9000億ドルから4兆5千億ドルまで膨らませてきました。

量的緩和終了後の現在も、保有債券が満期を迎えても同額を再投資することで資産規模を維持してきましたが、縮小に転じれば市場には引き締め圧力が生じるリスクがあることを認識しています。

2018年に満期を迎える米国債は4千億ドル規模と巨額です。17会計年度(16年10月~17年9月)の財政赤字見通しの7割にも相当し、再投資を一度にやめれば市場への影響は甚大だったため、しかたなく?再投資し続けてきました。

資産縮小計画で、米国債は開始時の縮小額を月60億ドルにとどめ、資産規模も金融危機前の9000億ドルではなく、2.5兆~3兆ドル程度への減額にとどめる(パウエル理事)との案が思い当たります。金利が反転上昇する圧力を最小限にしたいFRBは、利上げと資産縮小計画の狭間で苦悩しています。

KinkoのFOMC考察

FOMCはただ単に政策金利を上げ下げしているのではなく、経済の失速を防ぎつつ、その奥には財政再編をしようとする思惑が見え隠れしているのだと感じました。

2017年の米政府総債務残高(アメリカの借金)は21兆ドル(2300兆円)で対GDP費108%にも昇っています。この10年という短期間で1.6倍にも増えているのです。何年か前に債務残高の上限を超えるデフォルト(債務不履行)危機のニュースもありましたね。

ダウは連日の高値を更新し絶好調とも言えるアメリカ経済ですが、市場が大きくなればなるほどFOMCの思惑通りにいかなくなっている気がします。

FOMCの政策金利が米国市場に与える影響よりも日本市場の方が大きい気がします。日銀短観発表では無反応でも、FOMCが発表されると同時に、為替レートの振れ幅も大きく、それに伴って日本市場も動きます。

 

日本の政策金利

日銀は、金融政策決定会議で現状維持を決めました。黒田総裁の会見は下の通りで、→以後はkinkoの個人的意見です。

・国内景気は緩やかな拡大に転じつつあるが、デフレ心理の転換に時間がかかっている。→え?国民の気持ちの問題なの?

・現時点で出口の具体的な手法を示すのは適当ではない。→企業経営者が何もしませんって言ったらどう思います?

・日銀の短期的な財務悪化が通貨の信認を損なうことはない。→言い訳しているように聞こえるのはkinkoだけかしら?

・ETF購入の規模は、金利操作の政策と完全に連動して動かす必要はない。→個別の市場介入は如何なものかしら?

どうも日銀はアメリカ頼みの様相ですね。昨年行ったマイナス金利政策はイマイチですし、これ以上金利の下げようがありません。無しのつぶてと言ったところでしょうか?

政府のアベノミクス政策では、一定の効果がありました。しかし、5年目を迎える今年は、年初から総理個人の森友問題や加計学園問題を、半年に渡り取り上げられ、報道され続けています。安倍総理の味方をするつもりもありませんが、もういい加減、次の政策の話をして欲しいものですね。

ま と め

  • FOMCとは、金融政策を決定する会合
  • FRBは米国の債務超過に頭を悩ませている
  • 政策金利操作をしても教科書通りにいかなくなった