
こんにちは、kinkoです。
25日の武田薬品工業の終値株価は4,510円で、前日比−341円と7%も急落し、年初来安値を更新しています。
シャイアー買収の提示金額は、僅か1週間で6兆5000億円→6兆7000億円→7兆円と引き上げていますから、武田薬品はよほどシャイアーが買収したいのでしょう。
2016年にソフトバンクグループが英半導体設計アーム・ホールディングスを約3兆3000億円で買収していますが、今回の買収が実現すれば日本で過去最大の買収額となります。
日経には、「武田薬品はシャイアーの株主の満足のいく提案をしていく」とありましたが、武田の株主への配慮は?と思ってしまいました…
買収5つの懸念
1. 資産の査定は適正か?
医薬品会社は、将来の収益を左右する新薬候補がどのくらいあるか?が鍵となります。たとえ候補がたくさんあったとしても製品化出来なければ、リターンは望めません。
現在保有する医薬品の価値や隠れ負債などの瑕疵を調べる必要があります。特にシャイアーは買収を繰り返して来ましたから、細部まで目が行き届いているのか?を見極める必要があります。
東芝が買収した米原子力会社ウエスチングハウスのように後から巨額損失が明らかになる事もあります。もし、副作用が起きれば、賠償金を支払うことも考慮しなくてはなりません。石橋を叩き過ぎるくらい慎重に資産の査定をしなければならないでしょう。
2. 株式交換は適正か?
シャイアー1株あたりの買収価格を49.01ポンドとしています。買収報道前のシャイアーの株価は30ポンド台でしたから、3割ほど割り増しの評価です。
買収総額7兆円のうち、新株発行分が3兆8900億円、現金が3兆1000億円必要です。武田薬品の時価総額は、25日時点で3兆6000億円でしたから、単純計算で株式数は倍になり、武田薬品の既存株主にとっては資産が目減りし、議決権が半分となります。
シャイアーの既存株主の中には、英国株や欧州株のみに投資するファンドがあるので、武田の新株を機械的に売り株価を押し下げる可能性も指摘されています。
3. 対抗買収の可能性
先週、同業のアラガンが買収の名乗りをあげました。すぐに撤回されましたが、他にもファイザーやアッヴィなどの大手製薬会社が買収交渉に割り込んでくる可能性もあります。
他社が武田薬品の提示している金額よりも上回る買収額を提示した場合、さらなる買収額の上乗せを検討しなくてはならなくなります。
4. 株価下落
巨額の財務負担を懸念する機関投資家の売りが出ています。現在、年初来安値を更新しており、25日の出来高は通常の5倍以上となりました。
武田薬品の株価が下がれば、新株と交換の予定のシャイアーの株主が武田薬品の株式交換を拒否する可能性もでてきます。
武田薬品株は高配当銘柄として人気がありました。高値から3割下落した現在のPERは22.38倍とまだ高めなのでkinkoの触手は動きませんが…
5. 格付けが下がる可能性
ムーディーズジャパンによると、この買収により債務比率が上昇すれば、武田薬品の格付け(現在、A1)が複数段階下がる可能性があると報じています。
交渉期限は、当初4月25日の予定でしたが、5月8日まで延長されることが発表されました。25日が底値と思っていた株価でしたが、その日まで下落が止まらない可能性も出てきました。
1つの光明
医薬品業界は、医療費抑制の波が押し寄せており、国内の売上が落ち込み、将来の見通しは必ずしも明るくありません。生き残りをかけた合併や買収で、より一層のグローバル化をしていくほかないのかもしれません。
この買収が成功すれば、武田薬品は医薬品業界世界第10位の大企業になります!
社名をタケダ→Takedaに変更したのも、こういった思惑があってのことかもしれません。
自社の時価総額よりも大きな買収劇の顚末(てんまつ)を楽しみたいと思います。
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